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No.078 神楽亜矢 制服ver. (Aya Kagura School Uniform Ver.) 「だーから、お嬢様じゃないってば!そりゃ、パパの付き添いでたまにパーティーぐらい出るけど。滅多に見られないわよ、ここまで豪華なのは…」 情報 作品名 se・きらら 価格 3,200円(税込) 発売時期 2010年09月30日 商品全高 140mm 付属品 表情:笑顔、照れ顔 手首:×12(握り手×2、平手×2、持ち手×2、開き手×2、猫持ち手×2、弓持ち手・右、バイオリン持ち手・左) 武器:無し 共通付属品(スタンド、スタンド用アーム、収納袋、di stage用カバースキン) その他:猫5種、歯ブラシ、歯磨き粉、マグカップ(大)マグカップ(小)、、バイオリン、弓、バイオリンケース、穴埋め用髪パーツ 写真 キャラクター概要 名家の令嬢であることを決して鼻にかけず、誰とでも仲良くなれる快活な少女。 「毎日がイベント」を座右の銘に掲げ、退屈が大の苦手。 強すぎる積極性が災いしてトラブルメーカー化する事も多いが本人はいたって気にしていない。 公式サイトの人気投票では1位に輝いた。 商品解説 マックスファクトリー主導の製作チームによって開発されたR18指定ゲームソフト「se・きらら」。 モーニングコーヒーver.としてfigma化一番乗りを果たした人気キャラの亜矢が市販第2弾として登場。 歯ブラシ・歯磨き粉はモーニングコーヒーver.用の拡張アイテムといったところか。 また公式HPのショートストーリーにも登場している猫軍団5匹がオプションとして付属する。 figmaブログや公式サイトでの告知無しにいきなりグッスマ公式サイトで情報が公開された(後にfigma公式・ブログでも更新)ため、スレ住人達は驚きを隠せなかった。 これはグッスマ側による意図的なサプライズなのか、単に更新を忘れていただけなのかは不明である。 良い点 豊富な手首。 肩の可動が広い。 悪い点 サンプルに比べて首が長い。 足が殆ど上がらない。 長髪キャラにもかかわらずアーム用ジョイントがない。 注意点・不具合情報 関連商品 河村優 制服ver. 神楽亜矢 モーニングコーヒーver. 深雪真奈 制服ver. MANA 秋山望美 制服ver. 志津野泉 制服ver. コメント 名前 コメント
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仄暗い玉座の間を薄明かりだけが照らす。 暗闇から七人の男女が姿を現す。 玉座には中華風の衣装で煌びやかに着飾った女性が立つ。威厳の割りに、その顔は若く美しい。 「集まったか、八卦集よ」 彼女の声に玉座の下、左右に控える七人が恭しく傅く。 「ついに我ら鉄甲龍の復活の時が来た。長く国際電脳を隠れ蓑としてきたが、もはやその必要はない!今こそ世界を冥府へと変える時ぞ!」 高らかに叫ぶ声に、全員が深深と頭を下げる。 「だが、その前にやらねばならぬことがある……。わかるな?」 七人の内の一人、仮面の男が一礼し答える。 「はっ。裏切り者『木原マサキ』の抹殺、そして彼奴に奪われし『天のゼオライマー』の奪還にございます」 「左様。だが既に木原マサキは死んだとのこと。なれば残るは、天のゼオライマーの時空管理局からの奪還。誰ぞ我こそはという八卦は居らぬか!?」 七人全員がそれに応えた。彼女はしばし悩んだ後に 「耐爬、風のランスターに命ずる!必ずや天のゼオライマーの奪還、もしくは破壊を遂行せよ!」 両目の下に八卦の証である紋を入れた青年を指した。 「御意っ!必ずや御期待に応えて見せましょうぞ!」 彼は勇ましく答える。それは彼女――幽羅帝への忠誠。だが、それだけではない。 一瞬、彼女が耐爬に送った、切なげな視線に気付く者は何人いただろうか。 また、自らが去った後の、幾人かの耐爬への嘲笑を彼女は気付かなかっただろうか。 後にこの事件は、一般には『鉄甲龍事件』と呼ばれることになる。だが、真実を知る一部の人々はこう呼んだ。『冥王事件』――と。 魔法少女リリカルなのは―MEIOU 第一話「冥王、黄昏に降臨す」 「鉄甲龍……ですか?」 居酒屋風、否、居酒屋のカウンターに男女二人が腰掛けている。 一人は八神はやて。時空管理局 本局古代遺物管理部 機動六課部隊長である。仰々しい肩書きだが、19歳という年齢からはそうとわかるものは少ないだろう。 「ああ、別名ハウドラゴン。現在は動きを見せてないがな。多分水面下で活動してるんだろう」 もう一人はゲンヤ・ナカジマ。陸上警備隊第108部隊の隊長だ。階級ははやてが上ではあるが、それを感じさせない砕けた口調だ。研修中に彼女の面倒を見た関係で、今でも相談に乗ることがある。 「せやけど、次元世界を股にかけて活動するなんてできるんですか?」 「まあ、普通は無理だろうな。だが、奴らはおそらく独自の次元空間航行船、いや要塞を持っている。本局レベルのものをな」 「そんな……」 それほどの組織が何故、今活動していないのか。疑問は尽きない。 「連中のテクノロジーは管理局と同等かそれ以上。位置を悟らせない何らかの仕掛けがあるんだろう。組織も局と違って一枚岩だ」 「何でナカジマ三佐はそんなに詳しいんですか?」 はやての疑問は当然のことだろう。一介の部隊長が知っていることではない。 はやても今まで聞いたことすらなかった。 「昔……ちょっとな」 「はぁ……」 僅かにゲンヤの顔が曇った。が、すぐに笑って誤魔化した。 「ともかくだ、八神。鉄甲龍という名を覚えておけ。だが、できればこのまま忘れることができればいいんだがな……」 「わかりました。ありがとうございました、ナカジマ三佐」 「いや、休みだってのにこっちから呼んで悪かったな」 「いえ、今日は話せてよかったです。失礼します」 鉄甲龍――店を出た後もその言葉が頭から離れなかった。 その日、ティアナ・ランスターとスバル・ナカジマはいつもの休暇を満喫すべく、街に繰り出していた。 ウィンドウショッピングに買い食い等々をたっぷり楽しみ、さあ帰ろうかという頃。既に太陽は落ちかけ、街は朱に染まろうとしている。 二人乗りのバイクを走らせていると、懐かしい姿を見つけた。向こうも驚いてバイクを急停止させる。 「美久!?」 彼女は確かに氷室美久だった。二人の魔法学校の同期生。流れるような美しい栗毛、大きな瞳はまるで卒業当時から変わっていない。顔立ちも髪の長さもそのまま、背だけが少し伸びただろうか。 「スバル……ティアナ?」 彼女もスバル達を見て驚いているようだ。 「うん!久しぶりじゃん!」 スバルはつい懐かしくて手を握る。すると彼女も昔のように微笑み返してくれた。 「ほんと、久しぶりね。二人とも元気そう」 「まぁ、元気じゃなきゃ勤まらないしね」 「そうそう。身体が資本だから」 そんな他愛ない会話を交わす。それは15の少女らしい姦しいやり取りだった。 「そういえばさ、美久って確か本局勤務じゃなかったっけ?」 「何かミッドに用でもあるの?」 「あ……うん。そうなんだけどね……」 その話題になると急に歯切れが悪くなってしまった。困った顔で俯いてしまう。 「(ちょっとスバル。あんまり聞かないほうがいいかもしれないわよ。辞めちゃったとかかもしれないし)」 ティアナがスバルに念話を飛ばす。 「(あ、うん。そうだね、ごめん)」 スバルはこういったことに少々疎いので、ティアナのフォローはありがたい。 「いいよ。また今度、都合が合えば同窓会でもしよ?」 スバル達が気を使ったのがわかったのか、美久はほっとした顔で微笑む。 「うん、そうね。ありがとう」 そう言って彼女達は別れる。後はこのまま隊舎に帰り、残り少ない休日を楽しみ、明日に備えて眠る――はずだった。 「ティア!あれっ!」 二人の背後に輝いていたはずの太陽が突如、覆い隠される。 スバルの指の指す先には巨大な翼を開いた白いロボット、50mはあるだろうか。 「なに……あれ?」 バイクを横転しそうな勢いで止めたティアナはそう呟いた。いや、それだけしか話せなかった。 「どこだぁ!!ゼオライマー!!」 ロボットは訳のわからない言葉を叫びながら降下した。 足元の建物を踏み潰しながら、肩からは竜巻を放出しながら物や人を巻き上げていく。 街はあっと言う間に悲鳴に包まれ、人々は逃げ出した――しかし、どこへ逃げればいいのか?それもわからず、ただ、あのロボットから少しでも遠くへ逃げようとしている。 「と、とりあえず報告しよう!」 「そ、そうね!指示を仰がないと!」 その当然の答えにたどり着くのさえ、時間を要した。報告をしようとした時、上から自分達を呼ぶ声に気付く。 「スバル、ティア!」 「なのはさん!」 スバルとティアの上司、高町なのは一等空尉である。彼女は既にデバイスを発動させ、バリアジャケットをその身に纏っていた。 「なのはさん!何なんですか、あれ!」 「落ち着いて、二人とも!」 すっかりパニックになりかけている二人をまず落ち着かせる。 「あのロボット、こっちの呼びかけには全然答えようとはしない。私とフェイトちゃんは戦いに出ようとしたんだけど、上から強力なストップがかかったみたいなの。だから今は避難誘導を急ごう。二人も手伝って!」 「は、はい」 それぞれのデバイスを構え、 「マッハキャリバー!」 「クロスミラージュ!」 「セットアップ!」 『Standby,Ready』 同時に二人はデバイスを起動、バリアジャケットを纏う――瓦礫の撤去や障害物の破壊、攻撃を受けた時のためだ。 「それじゃあ、よろしく!」 なのはは再び飛び去り、スバルとティアナは顔を見合わせ頷くと走り出した。 なのはは避難誘導を急ぐ。 だが、何故上からのストップがかかったのか。それだけは気になって仕方がなかった。 こうしている間にもロボットは建物を吹き飛ばし、踏みにじっているというのに。 だが、その答えはすぐにわかった―― 「っ!公園が!?」 近くの公園が割れ、大きなゲートが開く。中からせり上がってきたのは、同じく巨大なロボットだった。 暴れているロボットとデザイン的には近い。各所に突起があり、特に頭部の突起は一際目立つ。 最大の特徴は、両手の甲の丸い球。同じ物が頭部中央にもある。 「またロボット?」 現れたロボットはぎこちない動作で手足を動かした後、背部のバーニアから青い炎を噴出しながら空へと飛び上がる。 「現れたか!ゼオライマー!」 暴れていたロボットは、現れたロボットに反応し、同じく空へと飛び上がる。形状から見て飛行に適しているのだろう。 間接の駆動音を響かせ、翼のロボットが殴りかかる。金属がぶつかり合う轟音は、周囲の悲鳴さえも掻き消す。 殴られたロボットは大きく飛ばされ、車、建物――人を破壊しながら地面を滑っていく。 爆音は更なる悲鳴を呼び、炎は薄暗くなった空を照らす。 倒れたロボットは再度飛び上がるが、風に煽られバランスを崩す。そこに敵の攻撃を受け転倒。 それを何度か繰り返し、やがて完全にロボットは沈黙した。 「何と呆気ない……これが天の力か……?」 エンジンが止まったのか、両手と頭の球体の光も完全に消えてしまっている。 「なのはちゃん!たった今、上から命令が下された。避難完了まで、できるだけ時間稼いで!」 「了解!」 はやての通信にも疑問が残る――この事態に攻撃にストップをかけておいて、ロボットがやられると今更戦えと言ってくる、上の指揮には明らかに不自然な点があった。 だが、今はそうも言ってられない。すぐにその考えを振り払った。 「時空管理局です!直ちに攻撃を停止し――っ!」 最後まで言い終えないうちに突風が真横を通り抜ける。ロボットは完全になのはに向き直っていた。 「邪魔をするな!管理局の魔導士!」 「そっちがその気なら……!」 なのはもレイジングハートを構える。 あれだけの巨体だ。殴られただけでも完全に防ぎきることはできないだろう。だが、懐に入ることができれば――。 『Accel Shooter』 高速で接近しつつ光弾を発射する。無数の光弾は尾を引きつつ、全てが着弾した。 「駄目っ!威力が低すぎる!」 アクセルシューターではかすり傷程度しか負わせることができない。 なのはの弱みはそれだけではなかった。 自分とロボットの下には未だ多くの市民が残っている。 彼女はロボットを市街地から引き離そうとも試みたが誘いにも乗ろうとはしない。余程もう一体のロボットから離れたくないのか。 それとも市街地の上なら全力の攻撃もできないと考えているのか――。 (距離を取って、全力の砲撃で撃墜できたとしても、あの巨体が落下して爆発すれば被害はかなりのものになる……!) それがなのはの攻撃を鈍らせている。 「邪魔をするなら、貴様から死んでもらうぞ!デェッド!ロン!フゥーン!」 ロボットの肩から六つの巨大な竜巻が放出され、外から内へ、囲むようになのはを包みこんでいった。 「きゃあああああああ!!」 竜巻の中では上下左右の感覚すら失われる―― フィールドやバリアジャケットが削られていくのを感じる―― (このままじゃ……!) なのははできる限り最大のバリアを張る。 そのことでダメージは軽減され、竜巻の中で体勢を立て直すこともできた。 レイジングハートを構える。 「ディバイン……」 狙いは一点、竜巻の隙間から見えるロボット、その肩。 魔法陣が杖を囲む――意識を集中させ、掛け声と共に一気に解き放つ。 「バスター!!」 収束された桜色の魔力光はロボットの右肩の、風の噴射口に突き刺さり爆発した。 「ぐぅぅぅぅぅ!!」 突然の反撃に驚いたのか、ロボットは肩を抑えて仰け反る。 弱まった竜巻を突破したなのはは再びロボットと対峙した。双方とも中距離で睨み合う。 一触即発の空気が流れる。下はまだ避難する市民や車の、悲鳴やクラクションでうるさいのに、上空は不思議な程静かだ。 「さっきは随分とやってくれたようだな……」 それを引き裂いた声は―― 「小さい……?」 「ゼオライマー!?」 なのはとロボットは同時に驚きの言葉を口にした。 「八卦……『風のランスター』か……」 なのはとロボットの間に浮かんでいるのは確かにさっきやられたはずのロボット――否、ロボットの形をした鎧だ。なのはと大きさはそう変わらない。 若干角が丸みを帯びているが、全体のシルエットは全く変わっていない。違う点といえば、両手の甲の球体が金色に光り、胸部の穴に光が灯っていることくらいか。 「やはりデバイスの形に切り替えたのは正解だったようだ……。ハリボテのゼオライマーとはいえ、十五年間『鉄甲龍』と管理局の馬鹿共を釣る餌くらいにはなってくれたようだな」 鎧の中から聞こえてくるのは若々しい少年の声だ。だが、その響きはとても冷酷なものに思えた。 「貴様がっ!真のゼオライマーだとでも言うのかぁ!!」 激昂したランスターが鎧に対して拳を叩きつけるも、拳は彼には届かなかった。 「バリア!?」 巨大な拳を受け止める程の強力なバリアが展開されている。 「そうだ……これこそが真なる『天のゼオライマー』!!」 冷酷で、それでいて心底楽しそうな声。 (この人……自分の力に酔っている……!) 「その証を見せてやろう……!」 ゼオライマーは右手をランスターへと向ける。手の甲の光球が光を増す。 そして光球から、ゼオライマーの何倍もの大きさの光の帯が走った。 「ぐうっ!!」 光はランスターの右腕を付け根まで消滅させる。 「次元連結システムは正常に稼動……。小型化しても威力に大差はなさそうだ」 次元連結システム――なのはには聞き覚えのない言葉だ。 ゼオライマーは左腕の光球をランスターへと向ける。 「次は……これでどうだ?」 光球が一瞬輝くと、ランスターの右足が爆発し、地面に落下する。 またランスターもバランスを崩して落下していく。 「クックック、貴様に同じ台詞を返してやろう。"何と呆気ない"」 そう言って、また彼は笑った。まるで地を這う蟻を見下すように、天から人を見下す神のように―― 「では……そろそろ終わりにするか……」 ゼオライマーは両腕を高々と天に掲げた。両手と胸の光は更に輝きを増す。 これ以上は危険だ。 「止めなさい!もう決着はついてます!」 なのははレイジングハートを構えた。 それは直感的な行動に過ぎない。後々罰を受けるかもしれない。 それでも――この光は止めなければならない。 彼はなのはを見ようともせず、 「ふんっ」 軽く鼻を鳴らしただけだった。 「ディバインバスター!!」 彼が鼻を鳴らすと同時に放ったディバインバスター。 彼はランスターの拳をバリアで受け止めていた。そのことを考慮して、制限があるとはいえ、全力全開のディバインバスターを放った。 しかし、ディバインバスターが当たる直前にその姿が一瞬幻影のように掻き消え、再び現れた。 「そんな!?」 「冥王の力の前に――」 両手と胸の光はもはや直視できないほどに輝いている。 「負けられんっ!この戦だけはぁぁぁぁぁ!!」 ランスターはなんとか身を起こし、『天』へと手を伸ばす。 「駄目ぇー!!」 「消え去るがいい!!」 なのはの叫びも空しく、ゼオライマーは両手を胸の前で突き合わせる。輝きが最大に達した時、地上に光が生まれた―― 地を覆い尽くす光は、ランスターを中心に家を、街を飲み込んでいく。『天』を見上げる数百の人々と共に―― その光は見る者全てを恐怖させた。それは指令所でモニターを見ていたはやて、少し離れていた場所で部下に指揮を出すフェイトも同様に。 身体が小刻みに震えるのを抑えることができない。厳密には、それは力への恐怖ではなく、多くの罪も無い人々を躊躇いなく消滅させることのできる者への恐怖――。 それはもはや人ではなく、まさしく――『冥王』。 「クックックッ……アーッハッハッハ――!!」 ならば今、なのはの前で笑っているこの男は――。 「そうだっ!ティア!スバル!聞こえる!?応答して!」 念話にも返事は返ってこない。 「まさか……」 眼下に広がる光を見る。広範囲に渡って街を包むそれは、まだ一向に消える様子はない。 この日、時空管理局は大規模な次元震を観測した―― 目次へ 次へ
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魔法少女フルメタなのは クロス元:フルメタル・パニック! 最終更新 08/02/01 第一話「世界からのシグナルロスト」 第二話「流れ着いた兵士達」 第三話「新たな生活」 第四話「wake from death」 第五話「邂逅、そして激突」 番外編その一「馬鹿騒ぎのレディーズ’バス」 番外編その二「回避不能なホームメイドディッシュ」 エリオと金色の獣 クロス元:うしおととら 最終更新:08/03/02 其の一「エリオととら、出会う」 其の二「とらと魔法と次元世界」 魔法忍者リリカル鴉 クロス元:忍道 戒 最終更新:08/05/02 第一話「鴉、来たる」 第二話「八神家」 第三話「ヴォルケンリッター」 第四話 前編 第四話 後編 第五話「嵐の前」 番外編「弁当とフラグ立て」 拍手感想レス :とらの身長は4メートルです! TOPページへ このページの先頭へ
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メビウス×なのは氏の手がけた作品 No. タイトル 005 反逆の探偵 TOPページへ バトロワまとめへ このページの先頭へ
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商品インデックス(英数字) A archetype he archetype he flesh color ver. archetype she archetype she flesh color ver. B BRS2035 BRSB D di stage 拡張(エクステンション)セット01 レイヤーユニット di stage 拡張(エクステンション)セット02 クリアケースユニット di stage 基本(ベーシック)セット di stage 情景セット01 教室 di stage 情景セット02/03 通学路 E ex ride EXride.01 BROMPTON ex ride ride.001 ヴィンテージバイク ex ride ride.002 クラシック自転車 ex ride ride.003 ストリートスタイルセット ex ride ride.004 ホイールウォーカー ex ride ride.005 レトロバイク ex ride ride.006 ミニバイク ex ride ride.007 アメリカンバイク ex ride ride.008 スリーホイール ex ride ride.009 ウォーターバイク ex ride ride.010 アニマルカー ex ride SPride.01 BD-1 ex ride SPride.02 ダイハツ ミゼットⅡ ex ride SPride.03 ガンツバイク ex ride SPride.04 ヨーゼフ ex ride SPride.05 セイバー・モータード・キュイラッシェ ex ride? ブラック★トライク(仮) F figma ウィンターキャンペーン figma クリスマスキャンペーン figmaサイクル figmaスクールバッグ figMAXヘッドパーツ figma用ヘッドフォン figmaマフラー T T-elos W WRS
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その他小物 その他小物 楽器BECK Guitar Collection BECK Drum Collection けいおん! Guitar Collection BOX hide 携帯ストラップ ギターコレクション ミッキー ミニー ギターコレクション キラメッキ楽器ストラップ 食べ物リーメント ぷちサンプルシリーズ その他ミツワモデル アンクの右腕 各種ドールハウス用品 その他関連商品COMPOSITE Ver.Ka ハルヒロボシリーズ 高坂京介(PVC完成品フィギュア) コメント 楽器 BECK Guitar Collection コミック「BECK」に登場するギターのトレフィグ。 サイズはピッタリで値段も手ごろな為、とりあえず小物を持たせたい!という人にオススメ。 ストラップは付属しない為、要自作。公式ページに型紙あり。 素材は100均で売ってる軟質クリアファイル等がお勧め。 オフィシャルサイト 限定でアンプコレクションもある。(ギターストラップ付き) BECK Drum Collection 上のシリーズと同スケールのドラム。 各パーツバラ売りな為、1セットコンプしようとすると2000円弱かかる。 オフィシャルサイト けいおん! Guitar Collection BOX 「けいおん!」に登場するギターのトレフィグ。 figma付属の物では物足りないという人向け。12月発売予定。 hide 携帯ストラップ ギターコレクション X JAPANの故hide氏が使用していたギターのキーホルダー。 上記のものと同スケールで、上記にないモッキンバード型。 ストラップピンが必要な場合は虫ピンなどを使用しよう。 似たような商品で「hide Guitar Collection」というのがあるが、こちらは1/8スケールで大きすぎるので、必ずキーホルダーの方を買うように。 ミッキー ミニー ギターコレクション BECKシリーズとほぼ同スケールのギターのキーホルダー。 キャラクターもののギターが欲しい場合はぜひ。 キラメッキ楽器ストラップ 吹奏楽器のキーホルダー。 金管楽器類はおおよそ大丈夫だが、木管楽器類は大きすぎることもある。 食べ物 リーメント ぷちサンプルシリーズ 定番のトレフィグ。 figmaと比較すると若干大きいが、食品以外にも豊富な種類が揃っているのが魅力。 その他 ミツワモデル 1/12Scale ミニチュアルームシリーズ 元はプラモメーカーのようだが、1/12ミニチュアルームというドール用の商品を展開しているようだ。 ルームのほうはそれなりに値が張るが、アクセサリーパーツは500円前後で販売している。 編集者が入手したのは、No.1帽子セット、No,4バケツ、ほうきセット。 ほうきは柄が短い感じがするので、プラ棒、バルサ材の棒、直径3ミリ程度の木の棒で代替することをお勧め。 アンクの右腕 S.H,フィギュアーツ仮面ライダーオーズ タトバ コンボの初回先着特典(現在入手困難)及び7月16日に一般販売された「アンクスタンドセット」。 これの展示に用いる魂STAGEの接続軸はfigma関節とほぼ同じ太さのため、figmaに付け替えて遊ぶことが出来る。 前者は初回先着特典のため各地で争奪戦が勃発し瞬殺が相次ぎ、現在入手困難。 今から入手するならプレイバリューで勝る後者が断然お勧めである。 各種ドールハウス用品 ドールハウスはたいていが1/12スケールなので、figmaに合うものが多い。 しかし必ずしも実物と同じ縮尺で作られているとは限らないので、商品がじっさいに何cmなのかよく確認しよう。 編集者はトランペット・トロンボーン・アルトサックス・コントラバス(ウッドベース)・グランドピアノを購入したが、トランペットとアルトサックスは大きすぎて使用できなかった。 その他関連商品 COMPOSITE Ver.Ka ハルヒロボシリーズ バンダイから発売されているロボットアクションフィギュア「COMPOSITE Ver.Ka」のアイテム。 一般販売のハルヒロボと、魂ウェブ商店限定の長門ロボ(受注終了済)の2種類がある。 フィギュア本体はfigma化していないバニー衣装でfigmaとも遜色ないサイズの為、補完目的で購入するのもあり。 高坂京介(PVC完成品フィギュア) 電撃屋ホビー館にて受注予約予定である『俺妹』主人公のフィギュア。 figmaに合うサイズとなっており、フィギュアーツにおけるZEROに近い位置づけとなるようだ。 コメント アマは初回特典付って書いてあるぞ -- 名無しさん (2011-01-14 22 38 26) 名前 コメント
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最近、考え込むことが多くなった。 ――あたしは、何を目指しているのだろう? こんな風に考える切欠は何時だったか。 訓練校に入った時? そこを卒業した時? それとも、Bランク魔導師の試験に合格した時? 違う。 <機動六課>に入隊した時だ。 そこから、自分の人生は大きく動き始めた。 一歩一歩の小さな歩みが、途端に大きく足を跳ね上げ、追い風に乗って走り始めた。 遠く仰いでいた『何が』見え始める。 だからだろうか? 自分の行き着く先を、とりとめもなく考える時間が増えた。 決まっている。決まっている筈だ。 漠然とした目的で、凡人の自分がここまで辿り着けるはずがない。 苦しみに膝を着き、悔しさで地を這った時、自分を支えたのは不変の誓いだった。 受け継いだこの<弾丸>で、兄の目指した正義を貫き通す。 その為の手段は明白で、目指すべき頂もハッキリと見えていた。 しかし、実際にその道を走って気付く――。 自分の行く道には、どうしようもなく多くのものが転がっているという事実に。 それは障害であり、足を引っ張るものであり、煩わしいものであり――また同時に、支え、導き、癒してくれるものでもあった。 それらに触れながら、時には抱えながら、少しずつ自分の荷物を増やしながら走っていく。 重くなどない。むしろ――。 「――ィアナさん。あの、ティアナさん?」 「え?」 我に返ったティアナの視界にキャロの心配そうな顔が映った。 物思いに耽っていたらしい自分の信じられない気の抜きようを戒めると、それを表には出さず周囲を見回す。 木々が並ぶ見慣れた訓練場の風景が目に入り、ティアナは自分の状態を冷静に理解した。 「ごめん、ボーっとしてたわ」 「ティアがボーっとするなんて、相当のことじゃない? やっぱり疲れが溜まってるんだよ」 自分と同じ分量の自主練習をこなしながらも、こちらはますますエンジンが掛かっているような高揚した様子の傍らでスバルがパートナーを案ずる。 「違うわよ、フォーメーションを考えてたの。アンタが物を考えないからあたしが脳みそ酷使することになるんでしょうが」 「ひどっ! まるでアホの子みたいに言わないでよ!」 「違うの?」 「何、その心底不思議そうな顔!」 「もしもし、入ってますか? ナカジマさん、お留守ですか?」 「痛っ! 痛い、やめてたたかないでノックしないでっ!」 叩くとコンコンいい音を立てる頭の中身を割りと本気で心配しながら、ティアナはスバルの追及をかわせたことに安堵していた。 無理をしているのは自覚済みだ。 他人の心配事となると勘の良いこの相棒には、あまり踏み込んで欲しくなかった。 彼女の好意が煩わしいなどとは思わない。 ただ、他人事の薄い言葉だと思えるほど、自分はスバルに心を許していないわけではないのだ。 その時ふと、ティアナはつい先ほどまで考えていたことを思い出した。 道を進む上で巡り合った、他人との数奇な出会い。 スバルと、そしてエリオやキャロ。高町教導官を始めとした、多くの先達たち……。 「ティ、ティアナさん……よろしかったら、その……これ」 弱弱しく差し出されたドリンクのボトルを一瞥し、ティアナはそれを持つ少女の小さな手を辿った。 ロクに相手の顔も見れないほどの緊張で真っ赤に染まり、それでも拒絶される恐れと純粋な好意でドリンクを渡そうとする健気な姿がある。 ティアナは時折見る、キャロのそういった人と関わろうとするささやかな勇気を微笑ましく思い、笑顔でボトルを受け取った。 「ありがとう。喉渇いてたのよ――ゲブォハッ!?」 スバルに言わせれば『デレ』であるらしい貴重な笑顔でボトルを煽り、次の瞬間ティアナは奇怪な声と共に口と鼻の穴からドリンクを逆流させた。 史上最悪の毒を含んでもこうはならないという凄惨な姿でのた打ち回り、スバルとエリオは硬直し、それを成した張本人のキャロは自らのへの恐怖で小さな悲鳴を上げた。 「ティアァァァーーー!? どうしたの、何が起こったの!?」 「……何コレッ!?」 鼻から奇妙な液体を垂れ流したティアナは鬼気迫る形相でキャロに食って掛かった。 その異様な迫力に哀れな少女は危ういところで失禁するところであった。 「ス、スポーツドリンクですぅ……オリジナルブレンドの」 「セメントでもブレンドしたっての!?」 「よく分からないですぅぅっ! シャーリーさんに教わったまま混ぜて……っ」 あのマッドメガネめ、スケボーのように隊舎内を引き回してやる! 罪の無い無垢な少女から確信犯へと怒りの矛先を転換させたティアナは強く誓った。 「あの……ごめんなさい。ティアナさん、疲れてるみたいだから、栄養が付く物をってわたしが頼んで……」 必死に言い繕うキャロの表情には涙と、自分の為したことへの深い後悔が滲み出ていた。 頭を抱えたくなるような理不尽な気持ちがティアナの心に湧き上がる。 何処か他人から一歩退いていようとする少女の歩み寄りを、自分は拒絶してしまったのだ。そこにやむを得ぬ事情があるにせよ。 ああ、畜生。やってらんない。そんな悪態を吐きながら、体は勝手に動く。 キャロの抱えるボトルを奪い取ると、その凶悪な中身を一気に喉の奥へ流し込んだ。 「ティア、死ぬ気!?」 「無茶ですよ!」 「ああっ、ダメです……っ!」 周囲が口々に止める中、ティアナは不屈の精神でその粘液を飲み干した。 「……キャロ」 「は、はい!」 「クソ不味いわ」 呻くように吐き捨てると、ティアナは空になったボトルをキャロに渡した。 「次は、普通のドリンクを頼むわね」 「……はいっ!」 そっぽを向いて投げ捨てられたティアナの言葉の意味を理解し、キャロは満面の笑顔で頷いた。 様子を見守っていたスバルとエリオの顔にも自然を笑みが湧いてくる。 それから、気分の悪さとは裏腹に体調は異常なほど回復したのは決してあの呪いのドリンクの効能などではなく偶然だと思いたい。 気が付けば暖かなものに囲まれていた。 同じ志を胸に宿す仲間達。 目指すべき指針となって、行く先の空を飛ぶ英雄。 この背を預ける唯一の相棒。 そして――。 『―――がんばれよ。お前ならやれるさ』 この出会いの数々はある種の幸運であると、認められる。 多くの大切なものに自分は恵まれているのだ。 ――だが、そうした優しい日々の中でも決して忘れられない過去があった。 兄は死んだ。 両脚と左腕を失い、酷く綺麗な死に顔が現実感を与えてはくれなかった。 残された右腕にはデバイスが握り締められていたらしい。最後までトリガーを引き続けて。 決して無くならない現実がある。 兄が命を賭して放った弾丸は届かず、撃たれるべき者が今まだこの世界でのうのうと生き続けているという現実が。 過去と未来。 どちらを優先させるべきか。 答えなど出ない。きっと誰にも。 ただ考えるのだ。 この満ち足りていく日々の先で、夢を叶え、頼れる仲間と共に自らの信じる正義を成し、いずれ兄の仇を正当な裁きの下で打ち倒す――そんな理想の傍らで、否定に首を振る自分がいる。 それも一つの選択なのかもしれない。 でも、ダメだ。 どうしても出来ない。 穏やかで優しい日々の中、まるでぬるま湯に浸かる自分を戒めるように脳裏を過ぎる兄の死を、ゆるやかに忘却していく事など。 それは愚かしいのかもしれない。過去に捕らわれているのかもしれない。 だけど。 ただ一つ。報われるものが欲しい。 『無能』『役立たず』と罵られ、その死を悼まれることも無く死んでいった兄の魂に捧げられる何かが欲しい。 その為ならば、仲間よりも、幸福よりも――これから続く優しい日々よりも。 ただ一発の<弾丸>が欲しい。 全てを貫く魔の弾丸が欲しい。 どちらの道が正しいかなど分からない。 ただ、どちらが幸福かは明白だ。 それでも尚、考え続ける。 そして今、一つの答えが出ようとしている――。 魔法少女リリカルなのはStylish 第十六話『Shooting Star』 実出動僅か2回の新人魔導師と前線に立ち続け多くの新人を導いてきたベテラン魔導師。 Bランクにされて間もない飛行魔法未修得の陸戦魔導師とリミッター付きとはいえ実質S+ランクの空戦魔導師。 その二人が戦えばどうなるか? 予測など容易い。決着は火を見るより明らかであった。 少なくとも、その戦いを見守るほぼ全ての者達が予見していた。 ――しかし。では、この緊迫感は一体何だ? 誰もが固唾を呑んでいた。 空気が張り詰め、ピリピリと乾燥している。 戦闘の意志を明確にしたなのはとティアナの対峙に、全ての物事が息を潜めている。 緊張の糸は緩まず、切れもせず、ただギリギリのところでピンと張り詰めていた。 それは、この二人の拮抗を意味するのではないか。 『結果は見えている。しかし――』 誰もが予想し、しかし心の片隅でそれを疑う気持ちを抑えることが出来なかった。 「――いくよ、ティアナ!」 静かな対峙をなのはの宣告が崩した。 油断を戒めるような緊張感がなのはに全力で戦うことを忠告していた。そして、だからこそ確実な手段を取る。 先制攻撃として<ディバイン・シューター>の魔法を瞬時に展開した。まずは様子見だ。 <ウィングロード>の限定的な足場で、飛行能力を持たないティアナには誘導性を持ったこの攻撃さえも脅威となる。 油断ではない。が、上手くすれば一瞬でカタが付く。なのははそう思っていた。 なのはの周囲に桃色の光弾が幾つも形成される。 そして――次の瞬間<銃声>と共にそれら全てが弾け飛んだ。 「な……っ?」 なのはの驚愕は、状況を見る者全ての心を代弁していた。 形成とほぼ同時に他の魔力との衝突で相殺されたスフィア。桃色の残滓が空しく周囲を散っている。 なのはは、それを成したティアナの姿を凝視した。 突きつけられた二つの銃口から薄い白煙を上げ、不敵な笑みを浮かべる彼女の姿を。 「撃ち落とされたの!?」 《Positive.》 レイジングハートが無機質に肯定した。 ほぼ全ての射撃魔法に言えることだが、発射には『魔力を集束しスフィアを形成して放つ』という過程が存在する。誘導という術式を付加するならば尚更だ。 ティアナはその一瞬のタイムラグを突いたのだった。どんなに強大な力でも発生の瞬間は小さな点である。 「訓練で嫌と言うほど味わいましたから。高町教導官の誘導弾は、一度放たれれば飛べない私にとって脅威です」 しかし、その一瞬を見極め、正確に行動出来るかと問われればやはり疑わざるを得ない。 「だから、撃たせない」 目の前の現象が、ティアナの言葉のまま簡単な話でないことはなのはにも理解出来た。 可能にした要素は幾つか在る。 ティアナの魔力弾は魔導師の中に在って異質だ。どんな射撃魔法よりも弾が速い。 誘導性を一切捨て、過剰圧縮による反発作用を加えた実弾並の弾速を誇るティアナの魔力弾だからこそ、相手の行動に反応してから撃ってもなお先手を取れたのだ。 だが、数も出現位置もランダムな標的にそれを全て命中させたのはティアナ自身の磨き上げた腕前に他ならない。 それは魔導師ならば――どんな射撃魔法にも命中率に多少なりとも弾道操作による補正を入れている、なのはですら及ばない射撃能力だった。 その力に戦慄し、同時になのははそんなティアナを想う。 何故、その自分の力を誇ってくれないのか。 「溜めのある魔法は命取りだと忠告しておきます!」 駄目押しのように告げ、ティアナは魔力弾を発射した。 実弾に匹敵する弾速を人間の動体視力で捉えられるはずもない。魔力反応、銃口の向きによる弾道予測、反射神経、全てを使ってなのははそれを回避した。 防御ではなく回避。咄嗟の判断だったが意味はあった。あのまま場に留まって射撃の応酬をしていれば、近くにいたスバルを巻き込んでいただろう。 今のティアナは他人を配慮する余裕や甘さなど持ち合わせていない。あの<悪魔>を撃った時のように。 なのはは<ウィングロード>の足場から飛び出し、そのまま飛行してティアナの死角に回り込みながら狙い撃つ。 チャージ時間を短縮した<ショートバスター> さすがにそれを止める猶予は無かった。 しかし、ある程度威力を犠牲にしてなお脅威的なその砲撃を、ティアナは半身を反らした紙一重の動きで避けた。 髪を掠めて肌のすぐ傍を圧倒的な魔力の奔流が走り抜けていく。その瞬間に瞬き一つせず、表情はただ不敵に笑うだけ。 「――狙いが甘いですよ、教導官」 カウンターのようにティアナの魔力弾が放たれた。 威力も魔力量も遥かに劣る、しかしただひたすら硬く速い弾丸が、飛行するなのはの機動予測地点へ正確に飛来した。 成す術も無く肩に命中し、走り抜ける痛みと衝撃になのはは小さく呻いた。 なのはのバリアジャケットは長時間の展開を目的とした軽量の<アグレッサーモード>を取っているが、それでも魔力に底上げされた基本防御力は一般魔導師のそれを上回る。 その防御が砕かれていた。 直撃を受けた肩の部分が破れている。一見すると布のようだが、付加された特性を考えればそれは鎧を撃ち砕いたに等しい。 訓練の時とは違う。手加減も配慮も無い。 明確な意思と決意の下の戦いで、鉄壁の防御を誇る高町なのはが受けた久方ぶりのダメージであった。 「命中率を誘導性に頼りすぎです」 「……やるね」 ある種の快挙ですらあるその結果を誇りもせず、ティアナは油断無く銃口を突きつけたまま皮肉げに言った。 それが挑発であることは分かっている。しかし、なのはは悔しげに笑わずにはいられない。 油断しないと言いながら、心の何処かでタカを括っていたのだ。自分は有利だ、と。 そんな自分を嘲笑う。 そして認めた。 もはや目の前の少女は、完全に<敵>である、と。 自らも工夫し、力と技を駆使して打ち倒さなければならない相手なのだ、と。 そうでなければ、何を言ったって自分の言葉は彼女の決意を1ミリも動かせやしない。 「教導官の強さは認めますが、アナタの認識だけで何もかも測れると思わないことです。だからアナタのこれまでの訓練は……」 「ティアナ、今回はよく喋るね」 更に挑発を続けるティアナに対して、なのははむしろ嬉しそうでもあった。 「普段も、それくらい気安く話しかけてくれてよかったのに」 「……黙れ」 感情が露わになる前に冷徹な仮面を被り直し、ティアナは無慈悲な射撃を開始した。 《Accel Fin》 急加速。 初弾を回避した瞬間、移動先を読んだ第二射が正確無比に飛来する。 なのはは咄嗟にラウンドシールドを展開してこれを防ぐ。 更に数発の弾丸が障壁を叩いたが、さすがにその防御を貫くことは出来なかった。 やはり高町なのはの防御力は鉄壁。本気で守りに回れば、ティアナの攻撃力では突破出来ない。 その事実にティアナは舌打ちし、同時にすぐさま思考を切り替えて両腕に魔力を集束し始めた。 自分の射撃は一度なのはの障壁を抜いている。要は状況とタイミングだ。必ず一撃を通せる瞬間がある。それを捉える。 戦意を衰えず、むしろ集中力を高めるティアナの前でなのはがシールドを解除した。 もちろん撃たない。これは隙ではない。必ず何らかの意図がある。 その予想に従うように、なのはがレイジングハートをティアナに突き付けた。 「今度はこっちからいくよ」 当たるか。 直線射撃なら回避、誘導弾なら迎撃。いずれの行動にも瞬時に移れるようティアナは身構える。 そんな万全の態勢を前にして、今度はなのはが不敵に笑う番だった。 「――フェイントだけどね!」 《Accel Shooter》 目を見開くティアナの視界で三条の閃光が空を走った。 「何っ!?」 タイムラグ無しに<ディバイン・シューター>より更にチャージ時間を必要とする<アクセル・シューター>を放ったという事実。 集中して見ていたが、狙うべき魔力スフィアの形成は確認されなかった。 驚くティアナを尻目に、なのはの『背後』から鳳仙花の種のように飛び散った三つの魔力弾が空中で軌道を変更し、標的目掛けて一斉に襲い掛かった。 手遅れだと思いながらもティアナは答えを知る。 なのははシールドで防御した際、障壁の輝きで視認を妨害しながら、更に自らの背後で魔力を練り上げていたのだ。攻撃の前動作を隠し、同時に射線を体で遮れるように。 今更もう遅い。恐るべき誘導性を持つ魔法は放たれてしまった。 回避が不可能ならば、スバルのような機動性も持たない自分が逃げ切ることもやはり不可能。 クロスミラージュが自らの判断でシールドを展開し、そうと意図せず両腕に集束していた魔力を防御力の後押しとする。 「うわぁっ!」 シールドが魔力弾を受け止める。 しかし、カートリッジの魔力増加無しにしてもその威力は凄まじかった。 一発目がシールドごとティアナの体を揺るがし、二発目が盾に亀裂を入れ、三発目がついに砕く。 互いに相殺し合う形であったが、反動でティアナの体は<ウィングロード>から弾き出された。 咄嗟にアンカーを撃ち出し、頭上に走る別の足場まで移動する。 その間、致命的な隙でありながら、なのはは追撃を行わなかった。 それは、ティアナが最初の攻撃でスフィアを撃ち抜いた後、一瞬無防備になったなのはをそのまま撃たなかった理由と全く同じである。 「――視野を広く持つように、って教えたよね?」 睨み付けるティアナの感情的な視線を戒めるように、なのはは言った。 「一歩退いて、相手を観察することも重要だよ。魔力の動きにも気をつけて。ティアナは五感を鍛えてる分、その辺の感性が鈍いよ」 「う、うるさいっ!」 仮面が剥がれ落ち、苛立ちとそれに隠れた羞恥がティアナの顔に浮き彫りになる。 意外と激情家なんだな。やっぱりヴィータちゃんと気が合いそう。 クールな少女の新しい発見に、場違いな感心と納得を抱きながら、それを心の片隅へ追いやって、なのはは更なる戦闘の為に行動を開始した。 「お話――聞かせてっ!」 「驚いたな……。ティアナ、なのはとしっかり渡り合ってるよ」 ビルの屋上でキャロ達と共に上空の様子を見上げていたフェイトは思わず呟いていた。 思う事は多い。 二人の戦闘までの経緯はしっかり聞き及んでいた。ティアナの言い分も分かるが、なのはの普段の苦労を知る側としてはその意思を汲んで欲しいというのが本音だ。 だが今は、そんなどちらが正しいとか味方するとかいう話は置き、ただ純粋に感心せざる得ない。 ティアナの意志は、なのはの意志に決して劣らない。 彼女にはそれほどまでに強い決意があるのだった。 それ故にぶつかり合わねばならないという現実が、どうしようもなくやるせないものではあるのだが。 「……フェイトさんは、どっちが勝つと思いますか?」 フェイトの漏らした呟きを聞いたエリオが躊躇いがちに尋ねた。 「それは、どっちに勝って欲しいって聞きたいんじゃないかな?」 「……そうかも、しれません」 「エリオはどう?」 「ボクは……ティアナさんを、応援したいです」 意外にも、エリオはフェイトの眼を真っ直ぐに見返して明確な答えを告げた。 保護者であり恩師であるフェイトに対して、何処か一歩退くような遠慮を見せるエリオには珍しい我を貫く姿勢だった。 「勝てば、ティアナさんはきっと孤独になります。スバルさんに言ったことは本心じゃないって信じてますけど、でも望んだ結果だとは思います。 でも……それでもティアナさんが自分の目標の為にそれを本当に望むなら、ボクはそれを叶えて欲しい。 その上で、例えティアナさんが独りを望んでも、ボクが勝手について行くだけですから。あの人が、未熟なボク達を信じて、導いてくれたように」 「そっか……」 そのことにショックなど受けない。むしろ嬉しく思う。 エリオにも、そうして貫くべき意志と守るべき大切なものが見つかったのだ。 自分にとってなのはと過ごした10年がそうであるように、エリオにとってティアナや他の仲間と乗り越えた苦楽こそ、月日の長さを超えた大切な経験なのだろう。 人との付き合い方はそれぞれ違う。 確かに、自分やなのははティアナのことをエリオ達に比べて知らない。 だからこそ、二つの意志は相反するのだ。 「わたしは……」 ただ黙って、悲痛な表情で戦闘を見上げていたキャロが、震える声で呟いた。 「どっちにも勝って欲しくない。ううん、勝ち負けなんてどうでもいい。 なのはさんとティアナさんが無事なら……戦うのをすぐに止めてくれたら、それでいい……」 「キャロ……」 「だって! おかしいですよ、こんなの……だって二人ともいい人です。優しい人です。敵じゃないんですっ!」 キャロは涙を流し、誰にもぶつけられない訴えを嗚咽と共に吐き出していた。 親しい人達が戦い合うこと――キャロにとって、それ自体が既に<痛み>であった。 「どうしてですか、フェイトさん? 戦うって、悪い人を倒す為や、大切なものを守る為にすることでしょ? ティアナさんは悪い人じゃないし、なのはさんは何かを壊そうとしてるわけじゃないっ。じゃあ、戦わなくていいじゃないですか!」 「違うよ、キャロ。これは……」 「嫌だよ、エリオ君……こんなのやだ……」 縋り付くキャロを、エリオはただ弱弱しく支えることしか出来なかった。 フェイトもただ痛ましげに見つめ、告げる言葉が無い。 幼いながらも呪われた人生を経験してきた。その上で差し出された手に救われ、再び人を信じ、仲間の暖かさに癒された。その無垢な少女にとって、これがこの戦いへの答えだった。 キャロの言葉はあまりに純粋で、単純だ。 だが、真理でもある。 フェイトとエリオは目が覚める思いだった。 ああ、そうだ。どんな事情があれ――親しい人達が傷つけ合うのは嫌だ。胸が痛む。 なのはが、そしてティアナもきっとそうであると。 二人は改めてこの戦いの厳しさと悲しさを知った。 「そうだね、キャロ。痛いことだよ、戦うって……」 フェイトはキャロの頬を伝う涙を優しく拭った。かつて、初めて彼女と会った時そうしたように。 だが今流れるこれは悲しみの涙だ。 「嬉しい時にも流れるけど、やっぱり苦しい時や悲しい時に涙は出るんだ。私もそれを見たくない。でも……」 キャロの顔をそっと自分に向け、視線を合わせて囁くように告げる。 「それが<人間>だから――。 どうしても分かり合えなくて、気持ちはすれ違って……それでも感情をぶつけ合いながら歩み寄っていくのが、人間だけが出来る戦い方だから」 「人間だけが、出来る……」 「涙を流せるってことは、心があるってことだよ。 これは、その心の戦い。どっちが悪いとか良いとかを決めるんじゃない。多分正しい答えなんて無い、それ以外を決める戦いなんだ」 後はもう何も言わず、フェイトはただ黙って空を見上げた。 止めること無く、横槍を入れることも無く、ただ見届けなければならない。この戦いの決着を。 なのはとティアナ。 かつて、自分となのはが戦った時のように、この決着でこれまでの何かが変わる。 それがより良い未来への分岐なのか、最悪の道への一歩なのか。それは分からない。 10年前、自分が戦った時。向けられたなのはの想いを否定した。完全な拒絶と敵意を持って戦い合った。 あの日のことは、多分一生引き摺る負い目だ。それは似たような境遇で戦ったヴィータも同じだろう。 だが、あの戦いは必要だった。 あの時に、自分は岐路を得て、選び、そして今此処にこうして立っている。 だから後悔は無い。あの時の決着と出た答えに。それだけはハッキリと言える。 「なのは……」 フェイトは心苦しさと同時に、不謹慎ながら喜びも感じずにはいれらなかった。 今のなのはは、あの頃のなのはだ。そのものだ。 管理局としての正義ではなく、次元世界を統べる秩序でもなく――ただ一人の人間としての想いを信じて戦っている。 迷い、悩み、それでも自分なりに考えて、傷付きながらも信じ続けて前進する。まるでヒーロー。 子供の頃から、その眩しい姿にずっと憧れていた。 組織は多くの人々を助けられるかもしれない。 でも、たった一人の為に全身全霊を賭けて救おうとする君が好き。 「つらい戦いだね。でも……頑張って」 やっぱり君には――自分の信じるままに飛ぶ、自由な空が良く似合う。 「クソ……ッ!」 放った魔力弾が再び障壁に弾かれるのを見て、ティアナは悪態を吐いた。 これが本来の実力の差なのか。 あっという間に戦況は一方へ傾いた。 なのはは強力なシールドを前方に展開し、先ほどと同じ方法で背後から誘導弾を連装ミサイルのように撃ちまくっている。 ただそれだけ。魔法の運用一つで、戦闘は一方的な展開となりつつあった。 ティアナの魔力弾はシールドを貫けず、弾速を驚異的な誘導性で補ったなのはの魔力弾は目標を執拗に追い詰める。 硬い盾と高い火力があれば、つまりはそれだけで戦闘は決する。 理不尽を嘆かずにはいられない理論ではあったが、ある種の真理でもあった。だから高町なのはは強いのだ。 それに、まさにこれこそがティアナの求める純粋なパワーでもある。 それを手に入れる為に、負けるわけにはいかない。 「クロスミラージュ、少し無理をさせるわよ」 《No problem.Let s Rock,Baby?(お気になさらず。派手にいきましょう)》 無機質な電子音声のクセに随分と小気味のよい言葉が返ってくる。 思いの他頼りがいのある返答に、思わずティアナは苦笑した。 「OK! 火星までぶっ飛ばしましょ――カートリッジ!!」 《Load cartridge.》 消耗した魔力を一時的にカートリッジで補う。 再び放たれた数発の魔力弾が見えた。 自動追尾の誘導性は単純な回避運動では振り切り辛い。無理な軌道変更を何度も繰り返してようやく成功させたと思えば、次が来る。 何度かの攻防でティアナはそれを理解していた。 効率はともかく、反撃に転じれるだけの効果的な方法が必要だ。 魔力を消耗し、弱点が露見する危険性もあるが、これしかない。 ティアナは一つの魔法を選択した。 「フェイク・シルエット――<デコイ>!」 ギリギリまで魔力弾を引き付け、回避に移る瞬間に幻術魔法を発動させる。 ついさっきまっで居た場所に、残像のように残された幻影のティアナへ向かって誘導弾が殺到した。 視認と自動追尾さえ誤らせる幻術を使った、戦闘機のような文字通りの囮(デコイ)だった。 一瞬の回避には効果的である。しかし、結局はその程度の効果だ。 本来の<フェイク・シルエット>は幻影を動かしたり、複数行使することで戦術的な効果すらも見込める魔法である。 ティアナにとって、この魔法は未だ習得出来ぬ不完全な魔法だった。 今のでそれを、なのはに見抜かれたかもしれない。 リスクは大きかった。だからこそ、見返りは最大限に活かす。 「うぉおおおおおおっ!!」 獣のように駆け、吼えながらティアナは空中のなのはを狙い撃った。 シールドに弾かれるのも構わず、とにかく攻撃の手を休めずに移動しながら、防御のカバーが無い側面へと回り込む。 なのはは冷静に観察し、察知していた。 その動きがフェイクであることを。 本命は、撃っていない左手に集束し続けている魔力だ。二段重ねの<チャージショット>の貫通力はシールドすらも射抜く可能性がある。 固定砲台と化していたなのはは、ようやく移動を開始した。 しかし、ティアナの命中精度と魔力弾の弾速は全速飛行であっても逃れ切れるものではない。 「捉えた!」 確信と共に、ティアナは左手に宿した魔力の暴走を解き放った。 雷鳴のような雄叫びを上げて、凶悪な銃火が炸裂する。スパークを撒き散らしながら、弾丸が展開された障壁に殺到した。 「<バリアバースト>!」 狙い済ましていたなのはは、まさにその瞬間仕掛けを発動させた。 バリア表面の魔力を集束して爆発させる。 子供の頃から技術向上し、バリア付近の対象を弾き飛ばす攻性防御魔法へ昇華した代物だったが、なのはは今、あえて対象を無差別に設定して実行した。 魔力弾の激突と同時に発動し、障壁を貫かれる前に、爆発により自分自身を弾き飛ばして距離を取る。 無茶苦茶だが、その思い切りの良さが回避を成功させた。 吹き飛びながらも空中で姿勢を安定させ、近くにあった<ヴィングロード>の足場に着地する。 そして、すぐさま<ショートバスター>による反撃を放った。 砲撃の隙間をティアナは駆け抜ける。 そう、ティアナは攻撃が失敗しても走り続けている。 なのはは彼女の走る足場の先を目で追い、その<ヴィングロード>が自分の元まで一本の道で繋がっていると知ると、内心で戦慄した。 まさか、計算通りか? 回避し、ここに着地することまで狙ってのことか――! 肯定するように、接近するティアナの両手には銃剣型のダガーモードになったクロスミラージュがあった。 なのはは感嘆せざるを得ない。なるほど、大したものだ。 「でも、終わりだよ。ティアナ!」 なのはは余裕を持ってシールドを展開し、背中に魔力スフィアを形成した。 ティアナには一瞬でも高機動を行う手段が無い。確かに、接近戦には絶好の位置に追い込んだが、タイミングが速すぎたのか、ただの駆け足では全くスピードが足りなかった。 間合いに到達する前に、迎撃は十分間に合う。 シールドは接近戦の持ち込み方次第でどうにかなるかもしれないが、そもそも誘導弾が放たれれば近づくことすら不可能だ。 僅かに間合いに届かぬ位置でなのはは魔法を完成させ、全てを終結させるべく解き放った。 数条の閃光がティアナに殺到する。 「――Slow down babe?」 眼前に迫る決定的な攻撃に対して、ティアナは不敵に笑い返して見せた。 「そいつは、早とちりってヤツよ!」 右手を突き出す。 カートリッジ、ロード。薬室に弾丸を込めるが如く。 《Gun Stinger》 銃声代わりの厳かな電子音声。魔力を集中させた銃剣の切っ先を前に突き出し、ティアナ自身の炸薬が点火された。 脚部に圧縮して溜めていた魔力を爆発させた反動で、無謀な突進は凶悪なまでの加速を得る。 次の瞬間、ティアナの体は前方へ弾け飛んだ。 「でぇやぁああああああーーーっ!!」 自らを弾丸と化した突撃。残像を残すほどの加速で<ウィングロード>を滑走し、飛来する魔力弾の隙間を一直線にすり抜けて、先端の刃がついになのはのシールドを捉えた。 激突のインパクトが周囲の空気を震わせ、更に続く力の拮抗が火花を散らす。 矛と盾がせめぎ合い、魔力で構成されながらも金属的な悲鳴を上げ続けた。 「すごいね、ティアナ! いつの間に、こんな魔法覚えたのっ!?」 絶対的な魔力差を埋めるティアナの突進力に顔を歪めながら、それでもなのはは感嘆を抱かずにはいられなかった。 戦いが始まって以来、ティアナはあらゆる予想を覆し続けている。 「魔法じゃありません! それに、あまり誇れる力じゃない……!」 渾身の力で魔力刃を障壁の内側へと押し込みながら、ティアナは自身の限界を悟られぬよう、歯を剥いて笑った。 冷や汗が滲む。この技は、あまり長い間パワーを放出し続けるものじゃない。あくまで一瞬の爆発力を得る為のものだ。 拮抗は長くは続かないだろう。 「これは……<悪魔>の力です!!」 無茶を承知で、空いている左手のクロスミラージュにカートリッジのロードを命じた。 激しい魔力放出を行う中、強引な方法で供給された魔力が痛みを伴って全身を駆け巡る。 マグマが血管を通り抜けるような錯覚を味わいながら、その勢いを全て右腕に注ぎ込んだ。銃口から伸びる魔力の刃が輝きを増す。 凶悪なその光は、ついにシールドを打ち破った。 しかし、それだけだ。 刃が障壁を貫通し、銃口が抜けて銃身の半分も食い込んだところで、ついに力尽きた。 ダガーの刃はなのはの胸元で僅かに届かず止まっている。もはやこれ以上の後押しは無理だ。 その結果にティアナは――笑った。 そして間髪入れずに吼える。 「クロスミラァァァージュッ!!」 《Point Blank》 撃発。 シールドを突破した銃口から、このほぼ零距離でダガーに蓄えていた魔力を利用した<チャージショット>がぶち込まれた。 力を溜めた銃身を槍のように突き刺し、そのまま発砲するまさに狂気の連撃(クレイジーコンボ) 実銃の放つマズルフラッシュに等しい魔力光の炸裂が指向性を持って前方に噴出し、直撃を受けたなのはは声も無く後方へと吹き飛んだ。 バリアジャケットのリボンの部分がバラバラに弾け飛び、確実なダメージを引き摺って、なのははたたらを踏みながら後退を止める。 ティアナ、もはや狩りに集中する獣のように、一片の油断も躊躇も無くただトドメを刺すべく追撃した。 「ぁ……っ、あっ、あ゛あっ、あああああああああああっ!!」 躍動する体から荒い呼吸音と共に漏れるこの恐ろしい声は何なのか。ティアナ自身さえ一瞬気付かなかった。 この一撃がティアナにとっても全身全霊を賭けた勝負であったことは間違いない。 賭けには勝った。だが多くのものを支払った。 一瞬の爆発力に全てをつぎ込み、これを逃せば元々平凡な魔力量しか持たない自分に持久戦は出来ない。 接近戦で全てを決める。 「墜ちてもらいます!!」 「……っ、そうも、いかないよ!」 焦点の合わないなのはの視線が、僅かに戸惑いを見せた後、素早く接近するティアナを捉えた。 ダガーの刃が十字に交差する。ハサミと同じ構えを取ったティアナはなのはの首を刈り取るように腕を突き出した。 交差の一点にレイジングハートを差し出し、なのはは辛うじてそれを受け止める。 《Stop fighting! It is your obligation,Cross Mirage.(戦闘中止しなさい。クロスミラージュ、アナタの責務です)》 デバイス同士が接触した瞬間、レイジングハートとクロスミラージュも意思を交わしていた。 過剰な戦闘継続と、相手の危険な精神状態を考慮したレイジングハートが冷静な命令を下す中、クロスミラージュは変わらぬ電子音声で答える。 《Sorry,My senior.My answer is……Fuck you!(申し訳ありません。私の答えはこうです……糞喰らえ!)》 予想外の、機械的な発声にそぐわない痛烈な返答だった。 レイジングハートに顔があったなら、きっと面食らっていたに違いない。クロスミラージュに手があったのなら、きっと中指を立てていただろうから。 主の意思も、デバイスの意思さえも相反し合った。 二人は激突を続ける。 体格的にも二人の筋力は大差無い。力比べを無駄と切り捨てたティアナは、素早く刃を引いて攻め方を変えた。 拳銃にナイフの生えたような通常の短剣とは使い勝手の違うそれを、驚くほど滑らかに振り回して、小さく、細かく斬りつけて来る。 射撃戦主体とは到底思えぬ巧みさであった。 なのはは冷や汗を浮かべながら、迫り来る剣閃をかろうじてデバイスで捌き続けた。 ティアナの攻撃が技術に裏づけされたものなら、なのはの防御は経験によって支えられている。 決して理の通った動きでは無く、無駄もあり、しかし長年戦い続けてきた経験の中にあるヴィータやシグナムを含む接近戦のエキスパートとの記憶が、迫る刃に対応するのだ。 全身を緊張させ、それでいてくつろいだ動きは、シビアな判断の連続である近接戦闘において理想的な態勢である。 「ビックリだな、ティアナってばどんどん隠し玉出すんだもん!」 「アナタに対して有効だから付け焼刃で振り回してるだけです! でも、今は私の出せる力は全て出して証明すると決めましたから!」 「なるほど! じゃあ、この勝負はわたしの負けかもねっ!」 ガギンッ、と鉄のぶつかり合う音を立て、再びデバイスは噛み合い、一瞬の拮抗が出来上がった。 互いの武器を境に、二人の視線が交差する。 「――ティアナを甘く見てたのは認めるよ。 でも、だったら尚更どうして? こんなに強いのに、ティアナはまだ力が欲しいの?」 「欲しいですね。例え悪魔に魂を売ってでも……<悪魔>を殺す為に!」 「そんな矛盾を持ってる時点で、間違ってるって気付かないの? そんな考えは、ティアナを不幸にする! 孤独にしちゃうんだよ!!」 「独りで戦う、誰も助けてくれなんて言ってない! どうしてアナタは私を止めるんですか!? 私はただの部下です! 別にアナタの10年来の友人でも、家族でもない! お節介程度の気持ちで、私の生き方まで干渉されたら、いい迷惑なんですよ!!」 もはやほとんど罵声のようなティアナの訴えが、なのはの心を揺るがした。 「わたしは……」 心が痛い。だが、こんな痛みなど自分勝手な感傷だ。 そうだ、結局どこまでいってもティアナにとって自分の言動は余計なお節介に他ならない。 それでも――ここで引き下がれない理由は何だ? 目の前の少女を、このまま独りで行かせたくないと思う、自分を突き動かすこの衝動は一体何なのか? 自分の心を表現出来る言葉を必死で探すなのはの頭とは別に、その胸に宿る熱い何かが一気に込み上げて、口から突き出した。 「――ティアナが、好きだから」 「え?」 一瞬、激しい力と意思の衝突が何処かに消え失せた。 呆けたようなティアナの顔と、無意識に出た自分の言葉を認めて、なのはは今や完全に納得した。 そうだ。これだ。 「初めて会った時、相棒を見捨てずに背負って走り続けるティアナの必死な顔を、カッコいいと思ったから」 つらつらと、これまでの迷いが嘘のように想いが言葉となって流れ出た。 「初めての訓練の時、ティアナの撃った弾に宿った魂の強さに、憧れたから」 教導官としての責務。 上司としての責務。 そんなもの、どうだっていい。 「初めてわたしの訓練に意見してくれた時、自分だけの決意を持つ真っ直ぐな眼を見て、もっと知りたいと思ったから」 高町なのはという一人の人間として付き合いたいと、思ったのだ。 「だから、ティアナ――今のアナタの姿がわたしには我慢出来ないの」 それは正しいのか、悪いのか。 そんな考えはもはや空の彼方へ捨て去って。なのはは今、一人の少女として、断固として言い切るのだった。 「そんな、身勝手な……っ」 「ゴメンね。フェイトちゃんやヴィータちゃんの時もそうだったけど、わたしって結構わがままなの」 絶句するティアナの前で、なのははあどけない笑みを浮かべて言った。 「そう言えば、わたしが勝った時の条件って言ってなかったね。 ティアナが勝ったら、うんと強くなるように訓練メニューを変更する。 わたしが勝ったら――今度こそ<なのはさん>って呼んでもらうよ。親しみを込めてね!」 名案だとばかりに、得意げに言うなのはの顔はどう見ても管理局所属の一等空尉の顔ではなく、年相応の人懐っこい少女の笑顔であった。 思わず釣られて浮かべそうになった苦笑を噛み殺して、ティアナは鋭く睨みつける。 「だったら、まずは勝ってからにしてもらいましょうか!」 クロスミラージュの銃身とレイジングハートの持ち手が交差していた一点に向けて、膝を蹴り上げる。 全く想定していなかった方向からの衝撃に、力の拮抗は崩れ、二つのデバイスは弾けるように離れ合った。 両手は宙を舞い、互いに無防備な懐を晒した二人だったが、その一瞬を想定していたティアナだけが一手早く動いた。 下腹に向けてダガーの刃を突き入れる。擬似的にとはいえ人を刺す行為に一瞬の躊躇もない。 バリアジャケット越しに感じる手応え。ティアナは何故か取り返しのつかないことをしてしまったような絶望を感じながら、必勝の瞬間にほくそ笑む。 なのはの腕が、ティアナの腕を掴んだ。 「ジャケットパージ!!」 そう叫んだなのはの言葉の意味が一瞬理解出来ない。 だが、何か答えを出す前にティアナの体は突然の衝撃に後方へ弾き飛ばされた。 上着の部分を構成する魔力を瞬間的に解放することで周囲に衝撃波を放ったこの<ジャケットパージ>は、かつて親友のフェイトが使用していたものだった。 全く予想していなかった反撃に吹き飛ばされるティアナ。揺れる視界で、なのはの射撃体勢を捉える。 必死にクロスミラージュの銃口を突き付けた。 「く……っ!」 「レイジングハート!」 互いのデバイスの先端に灯る魔力の光。交差する視線。狙いは完璧。 放たれる、今。 「シュートォ!!」 「Fire!!」 二色の魔力光がすれ違い、互いの標的を同時に直撃した。 奇しくも、二人とってこの戦いの中で初めてクリーンヒットを相手に与えていた。 「ティア! なのはさん!?」 意識を刈り取るほどの互いの一撃に吹き飛ばされ、<ウィングロード>の足場から落ちていく二人を見て、それまで呆然としているだけだったスバルが我に返る。 深くなど考えない。二人を救う為、魔力を振り絞って更に<ウィングロード>を形成し、伸ばす。 二人の間を中心に一本の青い道が伸び、落下する二人の体を受け止めた。 スバルが安堵のため息を吐く中、二人は倒れ伏したまま動かない。 モニターには倒れたままのなのはとティアナが映っている。 息を呑むようなその場の静寂が、ヴィータの元にまで伝わってきていた。 「……信じられねえ。リミッター付きとはいえ、相手はあのなのはだぞ」 「先に言うなよ。正直、俺も信じられないってのが本音さ」 この時ばかりはダンテも茶化す事無く、神妙な様子でヴィータの言葉に同意していた。 ティアナと最後に会って約三年。 確かに彼女は魔導師として鍛える為の施設に入り、その為の日々を過ごしてきた。 だが、その日々を経たとしてもわずか三年という時間であそこまで人は変わるものなのか? 機動六課に入って以来の付き合いでしかないヴィータにとっては、この変貌はより衝撃的であった。 「努力だとか詰め込みの自主錬だとかでどうにかなるレベルじゃねえぞ。 特に、最後のあの銃剣使った突撃。瞬間高速移動とか肉体強化とか、完全にスバルやエリオみたいな近接戦型魔導師のスキルじゃねーか」 感嘆というよりも畏怖するような響きで呟き、ヴィータは傍らのダンテを睨み上げた。 「……おまけに、どっかで見た技だったな」 初めて共闘した夜、目の前の男が使った技をヴィータは鮮明に覚えていた。 突進と刺突を合わせた一撃。だが、威力や効果はそんな単純なものではなかった。まさに絶大だ。 爆発的な初動は、自分やシグナムでさえ反応することが難しいだろう。あれは一種の技だった。ダンテは自然体で近接戦型魔導師のスキルを備えている。 ティアナの使った技はまさにそれをベースに発展したものと言ってよかった。 「確かに、アイツには何度か見せたことがあるがね。だが、分かるだろ? 見よう見真似で出来るもんじゃない。おまけにアイツには向いてないんだ」 「……そりゃそうだよな。確かにアイツの体つきは格闘向けじゃねえ。けど、だったらますます解せねえだろうが」 言いくるめられ、渋々頷きながらもヴィータは合点のいかない表情を見せた。 「近接技の類は単純な魔法の習得で出来るもんじゃねえ。 機動力強化や筋力強化にしても、基になる部分の適応、その為の肉体改造――どれも一朝一夕で出来るもんじゃねぇんだ。 こりゃ、努力とか才能の問題ですらねーぞ。時間的に無理! ティアナの野郎、まさかヤベー薬でもやってんじゃねえだろな?」 ヴィータはさして考えもせず冗談染みた呟きを漏らしたが、ダンテの表情が僅かに揺れたのを彼女は気付かなかった。 そうしているうちに、モニターで変化が起こる。状況が動き出したのだ。 ヴィータは再びモニターに釘付けになり、戦いの結末に意識を集中させた。 その傍ら。ダンテはモニターから眼を離し、肉眼では見えない遠くの訓練場での戦いを見据える。 「……あのじゃじゃ馬、まさかここまで踏み込んでたとはな」 笑い飛ばしてみようとして失敗し、苦々しいものがダンテの口元に浮かんでいた。 「深入りするなよ、ティア。お前は<人間>なんだ――」 ダンテの言葉は風に溶け、遠いティアナの下へ流れていく。 状況を鮮明に映すモニターの中、ついに二人の戦いは終着へ向かおうとしていた。「くっ……ぁあ……っ」 力を振り絞り、なのはは両手を着いて上半身を持ち上げた。 腹のど真ん中にはティアナの魔力弾の直撃を受けた跡がしっかりと刻み込まれている。まったく、あの態勢で恐ろしい命中率だ。 「久しぶり、かな……こんなにキツイの」 苦笑しながら力の入らない両足を無理矢理立たせる。 ダメージは予想以上だった。 近接状態から逃れる為とはいえ、<ジャケットパージ>は発動と同時に無防備な状態を晒す危険な方法である。 上着部分を失ったことで大幅に防御力の落ちたバリアジャケットは、ティアナの魔力弾の貫通力を緩和し切れなかった。 模擬戦でここまで必死になったのは、本気のシグナムとの一戦以来だ。 「ティアナは……」 なのはは自分の立つ<ウィングロード>が一直線に伸びる先を見つめた。 ティアナは倒れたままだ。意識は戻っているらしく、両脚を震わせ、両腕を動かしながらもがいているが、立ち上がれていない。 ダメージはティアナの方が深刻だった。 砲撃魔導師とも呼ばれるなのはの<ショートバスター>の直撃は、それほどまでに脅威なのだ。 ティアナは言うことを聞かない自分の体に絶望した。 「あたしが――負けるの?」 悔しさと共に、弱音とも取れる言葉が漏れる。 それを見下ろすなのはは、手を差し伸べることもなく、ただ強く言い捨てた。 「どうしたの? それで終わりなの?」 言葉とは裏腹に、嘲りなど欠片も無く、叱責するような厳しさでなのはは告げる。 「立ちなさい! ティアナ、アナタの力はそんなものじゃないはずだよ?」 「うる、さい……っ!」 なのはの言葉にティアナの頭が一瞬で煮えくり返った。 湧き上がってきた怒りを両脚に注ぎ込み、力として立ち上がる。ここで這い続けることは、何よりも許せない屈辱だ。 「アンタなんかに、あたしの何が分かるってのよぉぉ!!」 折れた牙を剥きながら立ち上がった。 ティアナの仮面、もはや跡形も無く崩れ落ち、無残なまでの感情が剥き出しになっている。 怒り、妬み、焦り、悔い、憎しみ――ハッキリとした視線。だが、なのははそこから眼を背けない。 「分からない。でも、わたしはアナタを止めなきゃならない。例え、アナタを傷つけることになっても」 幾度目かの対峙。 しかし、二人は言葉も交わさずに確信し合った。 次が、最後だ。 「……クロスミラージュ」 「……レイジングハート」 下向きに構えられたお互いのデバイスが、お互いの主の意のままにカートリッジをロードした。 供給される一発分の魔力。 そう、次の一発で決める。 奇妙な沈黙が落ちた。 嵐の前の静けさが最も表現として合っている。更に適する状況を表すならば『銃を構える寸前で止まった決闘の瞬間』が最も正しい。 自分が最後まで信じる射撃魔法を武器に、二人は同じ盤上で賭けに出ることを同意していた。 張り詰めた空気が、限界に達する。 ティアナとなのはが、自らのデバイスを相手に向けて振り上げた。 一挙動、なのはが遅い。 疲れ果てて尚、ティアナの抜き撃ちは神速であった。クロスミラージュのガンサイトがなのはの眉間を捉え、ティアナは躊躇無く弾丸を解き放つ。 放たれた魔力弾は、その音速に達する速さで一直線に走り――なのはの手の中に吸い込まれた。 「あ――」 目を見開き、驚愕に支配されたティアナに許された発声はそれだけだった。 待ち構えていたかのように、発射と同時に動いたなのはの空手が飛来する魔力弾を防護フィールドで包み込み、受け止めていた。 虚しく四散する魔力の残滓が舞う中、瞬き一つしないなのはの眼光がティアナを捉えている。 右手のレイジングハートが、ティアナより一瞬遅れてその穂先を標的に向けた。 「シュート」 囁き、念じる。 轟音と共に砲撃が放たれ、なのはの最速砲撃である<ショートバスター>が為す術も無いティアナを貫いた。 魔力の奔流が過ぎた後、左半身のバリアジャケットを消失させ、ティアナが力なく膝を着いた。 もはや、戦いを続けられはしない。 戦闘は終了したのだ。なのはの勝利によって。 「ティアナ……」 僅かにふらつく足取りを叱咤して、なのはは今にも倒れそうなティアナの下へ歩み寄った。 ギリギリの勝負だった。元より、正面から撃ち合いなどして自分に勝機があるなど思っていない。 なのはがティアナの射撃を防げたのは、勘と、運と、何よりもその判断力によるものだった。 散々自身の魔力弾を撃ち込みながらもそれに耐えてきた自分のバリアジャケットをティアナは警戒していたはずだ。 狙うならば、一番ダイレクトにダメージを送り込める頭部を狙って意識を狩りに来る――そう踏んで、ティアナの射撃を誘導した。 後は自身の持ち得る感覚やセンサー全てを頭に集中して待ち構え、そしてなのはは賭けに勝ったのだ。 「わたしの、勝ちだよ」 ティアナの目の前で、なのははそう宣言した。 それを聞き、持ち上げた顔の中。ティアナはまだ笑みを浮かべていた。 「まだ決着なんて……ついてませんよ、教導官。私の意志は折れていない」 「何言ってるの、ティアナはもう戦えない!」 「なら、待ちます。このまま何もしないなら、少しずつ呼吸を整えて、体力を回復させて、動けるようになったらもう一回襲い掛かります」 「そんなこと……っ!」 「そんな面倒な真似をさせたくなかったら、しっかり決着を付けてください。高町教導官」 ティアナの言葉に、なのは息を呑んだ。 ドドメを刺せ――ティアナはそう言っている。 「……降参して、ティアナ」 「言いません。もうダメです、その段階は過ぎました。私はもう決めましたから」 「ティアナ、意地を張らずに……っ!」 「その気遣いは、一体何の為のものなんですか!?」 倒れる寸前とは思えないティアナの一喝が響いた。 彼女の瞳にだけは、いまだに激しい炎が燃え続けている。 「高町教導官! アナタは卑怯だ、そうやっていつも深く踏み込む決断を避ける! 優しさだと思ってるそれは、壁なんです! 私はアナタの笑顔には惑わされない! 私の本気に対して、本気で応えようという気がないなら最初から関わらないで下さい! 今は優しさなんて必要ないんですよ!!」 息も荒く、それでもティアナは血を吐き出すように言葉を投げつけた。 その全てがなのはの心を抉る。 ティアナを含めて、これまで多くの訓練生に教えてきた全てに自信が無くなっていく。 間違っていたとは思えない。でも――確かにわたしは、壁を作っていたのではないか。 「……さっき言ったことは嘘ですか?」 今度は静かに、ティアナが尋ねた。 「本当なら撃って下さい。 私は本気だから止まりません。本気なら止めて下さい。撃って下さい。この戦いの答えを決めて下さい――<なのはさん>」 なのははカッと眼を見開いた。 心が痛み続ける。苦悩が巡り続ける。だが今、迷いだけは抱いてはならない。 何かを堪えるように引き締めた口元。弱弱しくも立ち上がったティアナを睨み据え、レイジングハートを構えた。 「――全力全開でいくよ、ティアナ」 「望むところです」 コッキング音と共に二発のカートリッジがロードされる。 十二分な溜めによって、最大級の魔力が強大なスフィアを形成、凶悪な光を胎動させた。 その圧倒的な存在を前に、射線上のティアナはむしろ穏やかな表情すら浮かべていた。 今、この戦いから始まった全てが終わる。 「<ディバインバスター・エクステンション>!」 なのはの叫び、あまりに悲痛に響き。 「シュゥゥゥーーートォォッ!!」 渾身の力と想いを込めて、なのはは泣き叫ぶように絶叫した。 高密度で圧縮された魔力が一瞬でティアナの体とその意識を飲み込む。 多重構造物を貫通するほどの対物集束砲は光の帯を空の彼方まで届かせ、その凶悪な輝き知ら示した後、ゆっくりと消えていった。 斜線上にあったただ一人の対象物であるティアナは、バリアジャケットを跡形も無くに吹き飛ばされ、訓練着の状態に戻っていた。 意識などあの光に全て焼き尽くされ、そのまま崩れ落ちる。 もはや、立ち上がることはない。目を覚ますのに丸一日は必要だろう。 今度こそ、戦いは終わった。 勝者となったなのはは、倒れたティアナを呆然と見下ろしていたが、やがて踵を返してフラフラと歩き始めた。 「模擬戦はこれまで。二人とも、撃墜されて……」 誰に告げているのか分からない呟きは、そのうちすすり泣くような声に変わっていく。 数歩進んだところで力なく膝を着き、両手で顔を覆った。 様子を見ていたフェイトが飛び出し、いつの間にかバインドの解かれていたスバルが弾けるように駆け出した。 その戦闘を傍観していた者全てが、慌てて行動を始める。このあまりに痛ましい結末に。 もう、見ていられない。 ティアナ対なのは、決着――。 to be continued…> <悪魔狩人の武器博物館> 《剣》リベリオン ダンテの愛用する剣。父から譲り受けたもの。 長身のダンテ自身に匹敵する程の長さと肉厚の刀身を持つ巨大な剣。悪魔の頭蓋骨を連想させる装飾が特徴。材質不明。 頑強で切れ味もあるが、それ自体は単なる剣に過ぎない。 その真の特性は、ダンテの力を唯一完全に発揮出来る媒介であるという点である。 並の得物ならば伝播させるだけで崩れ落ちる真紅の魔力を刀身に宿し、更に強力な攻撃として具現化させることが可能。 ダンテの魔力を帯び続けていたせいか、彼の意思一つで手元に戻ってくる特性も兼ね備えている。 また、武器としてだけではなく、ダンテの<真の力>を発揮する為の鍵としても在るらしいのだが――? 髑髏の装飾は、ダンテの状態に応じて形状が変化するらしい。 前へ 目次へ 次へ
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商品ページ作成テンプレ di stage用カバースキンは付属していない場合は削除 商品ページ作成テンプレfigma通常シリーズ用 figma SP用 figma EX用 関連商品用 figma通常シリーズ用 *No. 商品名 (Shouhinmei) **「台詞(ここは書かなくてもいい)」 **情報 |作品名|| |定価|円(税込)| |発売日|| |商品全高|約mm| **付属品 -表情: -手首:×() -武器: -共通付属品(スタンド、スタンド用アーム、収納袋、di stage用カバースキン) -その他: **写真 **キャラクター概要 (この項目は記述しなくてもかまいません) **商品解説 **良い点 - **悪い点 - **不具合情報 **関連商品 -[[関連商品名]] **コメント #comment() figma SP用 *No.SP- 商品名 (Shouhinmei) **「台詞(ここは書かなくてもいい)」 **情報 |作品名|| |定価|円(税込)| |発売日|| |商品全高|約mm| |同梱対象品|(ここに該当figmaが同梱されている商品名を記述)| **付属品 -表情: -手首:×() -武器: -共通付属品(スタンド、スタンド用アーム、収納袋、di stage用カバースキン) -その他: **写真 **キャラクター概要 (この項目は記述しなくてもかまいません) **商品解説 **良い点 - **悪い点 - **不具合情報 **関連商品 -[[関連商品名]] **コメント #comment() figma EX用 *No.EX 商品名 (Shouhinmei) **「台詞(ここは書かなくてもいい)」 **情報 |作品名|| |定価|円(税込)| |受注開始|| |受注締切|| |発送開始|| |商品全高|約mm| **付属品 -表情: -手首:×() -武器: -共通付属品(スタンド、スタンド用アーム、収納袋、di stage用カバースキン) -その他: **写真 **キャラクター概要 (この項目は記述しなくてもかまいません) **商品解説 **良い点 - **悪い点 - **不具合情報 **関連商品 -[[関連商品名]] **コメント #comment() 関連商品用 *商品名 (Shouhinmei) **情報 |分類|| |定価|円(税込)| |発売日|年 月 日| |商品サイズ|mm| |カラー|| **セット内容 **写真 **商品解説 **良い点 - **悪い点 - **不具合情報 **コメント #comment()
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2ch figmaスレ まとめwikiへようこそ 2chおもちゃ板 figmaスレのまとめウィキです。 どなたでも編集が可能です。新しい情報や誤り等あればどんどん改筆よろしくです。 figma(フィグマ)とは? PVCスタチューと可動フィギュアがそれぞれ実現していた「美しさ」と「可動」。 この2つの完全な両立を目指す新世代アクションフィギュアシリーズ、それが「figma」です。 2次元キャラクター造型を得意とする「MAXファクトリー」と、キャラクターに演技させ、生命を吹き込むることに長けたフィギュアアーティスト「浅井真紀」とが手を組み、「ヒーロー、ヒロイン達が手の平で自由に動く感動」を創造します。 ―オフィシャルより抜粋 更新履歴 取得中です。
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付属品一覧(その他付属品) その他付属品はこちらのページ 付属品一覧(武器) 付属品一覧(装飾品) 付属品一覧(小物) 表情・前髪パーツ一覧 ハンドパーツ一覧 付属品一覧(その他付属品)共通付属品 台座(上記共通付属品を除く) 補助パーツ 収縮防止用パーツ 台紙、ペーパークラフト 共通付属品 分類 名称 付属商品名 備考 標準台座 標準台座(クリア) ミサカを除くfigma商品 ベース+アーム。複数個付属している商品(※1)有り 収納袋 figma袋 全figma商品 ホルダー ハンドパーツホルダー 一部(※2)を除くfigma商品 カバースキン di stage用カバースキン 一部(※3)を除く高町なのは The MOVIE 1st ver.以降figma商品 台座(上記共通付属品を除く) 分類 名称 付属商品名 備考 di stage di stage 基本(ベーシック)セットブラック ゴルゴ13初音ミク ライブステージver.ジョナサン・ジョースター di stage 基本(ベーシック)セットを参照 専用台座 ミサカ標準台座(黒) ミサカ ベース+アーム。検体番号シール(○○○○一~二○○○○ランダム)貼付 付属品専用台座 リィンフォースⅡ台座 シャマル 騎士服ver. L字型。台座アーム先端に取付可能 マジカルマスケット銃台座 巴マミ 6個 サーベル台座 美樹さやか 8個 仮ケンジ(立ち)台座 キング・カズマ ベース+ピン 仮ケンジ(やられ)台座 ラブマシーン ベース+ポール お菓子の魔女台座 巴マミ 鉄骨台座 伊藤カイジ ベース+ポール。2個 マーブルファンタズムエフェクト台座 ファンタズムーン 髑髏台座 デッドマスター ベース2個+ポール長短各1本 補助パーツ 分類 名称 付属商品名 備考 付属品用 バリアジャケット帽子接続パーツ キャロ・ル・ルシエ バリアジャケットver. マント補助パーツ フェイト・T・ハラオウン バリアジャケットver. 台座アーム取り付け時は1個、台座を使用しない時は2個組み合わせ マント接続ピン フェイト・テスタロッサ The MOVIE 1st ver. 台座を使用しない時用 キャロ・ル・ルシエ バリアジャケットver. 黒い羽接続ピン 八神はやて 騎士甲冑ver. 上着接続ピン 千石撫子 やられエフェクト接続ピン 阿良々木暦 後光接続パーツ ラブマシーン ドラグシールド手持ち接続パーツ 仮面ライダードラゴンナイト 2個 仮面ライダーオニキス ドラグシールド肩接続パーツ 仮面ライダードラゴンナイト 2個 仮面ライダーオニキス ベースストラップ留めパーツ 秋山澪 制服ver. 伊吹瓢腰提げ接続パーツ 伊吹萃香 F・BGSHOT支柱 KOS-MOS Ver.4 2本 Ogre Arm支柱(長) ストレングス 2本。figma関節付き Ogre Arm支柱(短) ストレングス 2本 台座用 台座アーム延長パーツ(直角型。乳白色) 関羽雲長 諫山黄泉 涼宮ハルヒ 光陽園学院ver. 台座アーム延長パーツ(直角型。クリア) シャナ 炎髪ver. シャナ 黒髪ver. 平沢唯 制服ver. 秋山澪 制服ver. 琴吹紬 制服ver. 田井中律 制服ver. 中野梓 制服ver. 平沢憂 制服ver. 真鍋和 制服ver. ライダー 台座アーム延長パーツ(直角型。黒) ガッツ 黒い剣士ver. 台座アーム延長パーツ(新型。クリア) ティアナ・ランスター バリアジャケットver. キング・カズマ 巡音ルカ エリオ・モンディアル バリアジャケットver. キャロ・ル・ルシエ バリアジャケットver. 戦場ヶ原ひたぎ 牧瀬紅莉栖 高坂桐乃 伊吹萃香 新垣あやせ 暁美ほむら ブラックゴールドソー インデックス 千石撫子 美樹さやか 佐倉杏子 黒猫 聖天使神猫 ver. 台座アーム延長パーツ(大型) キャロ・ル・ルシエ バリアジャケットver. 台座アーム延長パーツ(刺又型) 真希波・マリ・イラストリアス 新型プラグスーツver. 式波・アスカ・ラングレー テスト用スーツver. 綾波レイ プラグスーツver. 初音ミク Append ver. 神原駿河 セイバー・リリィ 高町なのは 制服ver. セイバーエクストラ 台座アーム延長パーツ(可動グラップ型) BRS2035 ブラック★ロックシューター 台座アーム延長パーツ(アーム接続U字型) ラム テン接続用 射命丸文 烏接続用 伊吹萃香 ミニ萃香接続用 台座アーム延長パーツ(アーム接続U字型。クリップ付き) ゴルゴ13 伊藤カイジ 台座アーム延長パーツ(アーム接続U字型。2パーツ構成) キャロ・ル・ルシエ バリアジャケットver. 基部+アーム。フリードリヒ接続用 アイリスフィール・フォン・アインツベルン 基部+アーム。針金の鳥接続用 自立支援パーツ 自立支援パーツ アイギス 2個 アイギス 重装ver. メティス 射命丸文 車輪付き自立支援パーツ ドロッセル(チャーミング) 収縮防止用パーツ 分類 名称 付属商品名 備考 穴埋めパーツ 正座下半身穴埋めパーツ セイバー 私服ver. アーチャーの左腕穴埋めパーツ 衛宮士郎 私服ver. 展開状態上腕部穴埋めパーツ 初音ミク Append ver. 4個 Ogre Arm穴埋めパーツ ストレングス 2個 爪先立ち靴穴埋めパーツ 高嶺愛花 小早川凛子 姉ヶ崎寧々 上履き穴埋めパーツ 小鳥遊ヨミ 制服ver. 台紙、ペーパークラフト 分類 名称 付属商品名 備考 台紙 SOS団部室バックシート 小泉一樹 制服ver. TVアニメOP再現背景シート 高良みゆき 冬服ver. ゲイパレスイメージバックシート ビリー・ヘリントン バースディver. 森林バックシート ビリー・ヘリントン クリスマス&ニューイヤーver. モーテル⇔夜景バックシート ゴルゴ13 オプション台紙 伊藤カイジ ざわ…ざわ…白地黒地大小各1枚。ゼッケン。☆ワッペン(☆1~☆6)6枚。限定ジャンケンカード(グーチョキパーセット1枚。グー、チョキ、パー各4枚)Eカード(平民・平民・皇帝セット、平民・平民・奴隷セット、皇帝、奴隷各1枚、平民4枚) 台座シート 巴マミ マジカルマスケット銃突き立て可能 美樹さやか サーベル突き立て可能 Cheerful Japanポストカード 初音ミク 応援ver. クリア台紙 擬音、照準シート ゴルゴ13 擬音5枚。照準4枚 召還魔法陣シート キャロ・ル・ルシエ バリアジャケットver. ミッドチルダ式魔方陣シート エリオ・モンディアル バリアジャケットver.用ベルカ式魔方陣シート モーテルペーパーヴィネット用窓シート ゴルゴ13 標準、銃痕付き各2枚 シール コンプティーク表紙シール 柊かがみ 冬服ver. 2枚 マスケラ同人誌、マスケラ設定資料集表紙シール 黒猫 各3枚 星くずウィッチメルル、妹と恋しよっ♪パッケージシール 高坂桐乃 ディスティニーレコード表紙、内側シール 黒猫 聖天使神猫 ver. 開き用表紙、内側、閉じ用表紙各3枚 ヤマツチモデルショップシール 長門有希 悪い魔法使いver. 2枚 大森電器店シール 夢想天生銘柄シール 博麗霊夢 雪の結晶シール ドロッセル 観光ユニット「ギズモ」装着ver. 半立体漫符シール 十六夜咲夜 絆創膏、ガーゼシール 枢木スザク 各5枚 のっぺら顔用シール 泉こなた 夏服ver. 柊つかさ 夏服ver. 高良みゆき 夏服ver. 柊かがみ 夏服ver. デカール のっぺら顔用デカール 平沢唯 制服ver. 嵐山歩鳥 平沢唯 制服ver.用のっぺら顔用デカール 真鍋和 制服ver. サインボード用数字デカール レーシングミク2011 初優勝記念ver. ペーパークラフト シャワールームペーパークラフト(通常) ビリー・ヘリントン シャワーヘッドパーツ付属。ボディソープ、シャンプーボトルも台紙に印刷 シャワールームペーパークラフト(ホラー調) ビリー・ヘリントン ハロウィンver. ロッカーペーパークラフト ビリー・ヘリントン バースディver. ペーパーヴィネット モーテルペーパーヴィネット ゴルゴ13 5枚。di stage 基本(ベーシック)セット使用。蛾3匹。アタッシュケース用札束。タイトルロゴ。漫画コマ。吹き出し付属 サウンドブースペーパーヴィネット 初音ミク ライブステージver. 3枚。di stage 基本(ベーシック)セット使用。後光付属 ※1 ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破シリーズ、BRS2035、ブラック★ロックシューターがそれに当たる。 ※2 archetypeシリーズ、キングカズマ、ロボコップ、ブラックゴールドソー、まろん=まかろん、BRSBがそれに当たる。 ※3 ゲーム、DVD、書籍付属のSPシリーズ(高町なのは 制服ver.を除く)、ライダー、セイバーオルタ、涼宮ハルヒ 中学生ver.、朝比奈みくる 大人ver.、涼宮ハルヒ 光陽園学院ver.、末永みらい、ロボコップがそれに当たる。